ナチュラル服・肌触りの良い大人のガーゼ服は ao daikanyama | アオ代官山
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「1枚のブラウスができるまで」第2回

aoの服は新潟県糸魚川市の縫製工場で1枚1枚作られています。 

歩いて海まで行けるその工場では、1枚のブラウスができるまでの工程に何人もの技術者が携わっています。

繊細にミシンを扱う手と、家族のために毎日の食事を作る手と。
海辺の町で働き暮らす彼女たち(時に彼たち)が、プレミアムラインbisシリーズ「タックバルーンスリーブプルオーバー」を作り上げていくストーリーをお伝えしていきます。

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第2回
パターンアレンジ
川原絵里さん・30代

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第1回でご紹介した<仕様検討/先行チェック>という工程と同じタイミングで行われるのが、今回の<パターンアレンジ>。

CADというソフトを使ってパソコン上で行われるパターンアレンジですが、縫い代を数ミリ増減する、ノッチ(※1)の位置を決める、歩留まり(ぶどまり、※2)を最小限に抑える...といった、その後の裁断&縫製作業をしやすく工夫をこらす、言わば洋服作りの要となる作業なのです。

※1 ノッチ:パターンに切込みを入れること。合印。2枚の生地のノッチを合わせながら縫うことでズレをなくすことができる。

※2 歩留まり:生地効率。決められた生地内に各パーツを効率よく収めることで、廃棄する部分を少なくする。

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---1枚の生地にうまくパーツを収めて歩留まりの少ないパターンを作ります。


aoの風合いはパターン調整の賜物。

パターンアレンジは作業の工程を円滑にするだけではなく、ao特有の"風合い"にも大きく関わってきます。

一般的に洋服に使う生地は縮みや光による変色を防ぐため、精錬や漂白など化学的な加工が施されます。一方、aoで使う生地はそういった加工をせず、素材本来が持つ自然な風合いをそのまま活かしています。すなわち洗ってしまうと縮んでしまったりする不安定さが残る生地。代表的な「なめらか天竺」では、洗いをかけると縦横で約35%近くも縮んでしまうのです。

そのままお客様の手元に届くと大変。だから生地の段階でどれくらい縮むのか、洗いをかけて収縮率を計算したうえで、パターンの調整を行うことで、デザイナーが求めるシルエットを導き出します。これもパターンアレンジの大事な仕事なのです。

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---洗いをかけた生地の収縮率も計算。仕上がり後の縮みも予測してパターンを調整します。


未経験だったから、現場が教室。

「実家はクリーニング店で、母の作った洋服を兄妹みんな着ていました。いつも洋服に囲まれて育っていて、いま思えば、それが洋服作りをするきっかけだったのかな」

川原さんは高校卒業後に入社。CADオペレーター募集でしたが未経験。それでも採用され、いろんな工程をまわりパターンのいろはを学びました。だから「他社や一般的なやり方はわからないけど、この工場だったらこうやる」という、現場感覚を大切にするオペレーターなのです。


気軽な会話から、バランス感覚を磨く。

そんな川原さんのCAD技術の見せどころ。それはバランス感覚。生地のムダをなくすために歩留まり重視になると、裁断が複雑になり時間がかかる。ある班の要望の縫い代だけを採用すると、他の班では縫いづらくなる。現場からノッチ指示が入ってなくても、必要だと思ったら入れる。

工程に携わるすべての人たちに「よかったよ、やりやすかったよ」と言ってもらうために、全体バランスを考えてパターンを調整するのです。必要なのは、現場とのコミュニケーション力。「真剣に議論しがちな仕事のことを、あえて軽く話すことで言いやすい空気を作るようにしています」と秘訣を話す川原さん。aoの母体である縫製工場の社長にもそのフランクさが受け入れられ、すっかり一目置かれる存在に。

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---パソコン横には「ママガンバッテ」とのメモ。小学生の男の子のお母さんでもあります。


家庭に入ることに憧れ、子育てを機に職場を一旦離れましたが、またaoに戻ってきた川原さん。「仕事をしてると生活にハリが出てきます。違う仕事もしてみたかったけど、やっぱり自分の知識が活かせるし、何より作ることが好きだった」。子どもの頃からいつも洋服に囲まれて暮らしていた、彼女らしい選択です。


【personal data】

一緒に暮らす人:夫、子供、義父母
出身地:糸魚川市早川地区
趣味:キャンプなどアウトドア活動
特技:料理を食べること、作ること
得意料理:煮玉子。地域のお祭りの振る舞いで好評。
一押しのaoアイテム:デニムノーカラーコート。デニムよりも柔らかく、さっと羽織れる。

【今日のお弁当】

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ベーグルサンド。具材は子供が好きなカボチャサラダ、豆、クリームチーズ、チキン、トマト。パンが好きで、こっそり会社の冷凍庫にパンを保存している。

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取材・文:村岡利恵(HÜTTE muumuu)
『フィガロヴォヤージュ』『Hanako』などの編集に携わる。2017年の初夏から長野県大町市の高瀬渓谷の別荘地で「HÜTTE muumuu」という朝食限定のカフェと編集&デザイン業を営む予定。www.huttemuumuu.info


次回更新は8月31日(木)を予定しております。

第1回の記事はこちら

h.a.n.d ao
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