ナチュラル服・肌触りの良い大人のガーゼ服は ao daikanyama | アオ代官山
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「1枚のブラウスができるまで」最終回

aoの服は新潟県糸魚川市の縫製工場で1枚1枚作られています。 
歩いて海まで行けるその工場では、1枚のブラウスができるまでの工程に何人もの技術者が携わっています。
繊細にミシンを扱う手と、家族のために毎日の食事を作る手と。
海辺の町で働き暮らす彼女たち(時に彼たち)が、プレミアムラインbisシリーズ「タックバルーンスリーブプルオーバー」を作り上げていくストーリーをお伝えしていきます。

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第7回 

納品前検査

清水裕美さん・40代

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いよいよ連載は最終回。前回の<まとめ>で完成したブラウスが、代官山と阪急うめだ本店の店頭やオンラインショップ、全国のaoの取扱店へと出荷されていきます。その前の大事な工程が<納品前検査>になります。

台の上に広げられたブラウスを1枚1枚、表裏を返したり、袖やタックの部分を軽く引っ張ったり。その時間、わずか20秒弱。あまりの素早さに何をやっているのかすらわからず。終わった服はハンガーにかけた上で、二手に分けてラックにかけられていきます。

この作業を行っているのは、納品前検査担当の清水裕美さん。彼女が何をしていたかというと、縫製不良や汚れがないか、仕様通りにきちんと仕上がっているかの目視確認。でき上がった商品の寸法をチェックするために検寸も行います。胸元に貼り付けたガムテープを時折はがして、ブラウスについた細かな糸くずを取り除いていきます。

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---お客様が着用された時に負荷がかかっても大丈夫なのか、引っ張って確認をします。

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---糸くずなどのゴミを取るのはガムテープがいちばん。胸元にガムテープを貼り、いつでもゴミを取れるようにしています。


ラックに分けられたのは検査を通ったブラウスと、清水さんの目で不良だと判断されたブラウス。「ほら、ここにゴミが入っているんですよ」。よく見ると、袖口の中に2mmほどの小さな黒い糸くず。不良箇所に丸いシールを貼り、「不良品明細」のタグをつけます。一連の作業を見ていても、どこが不良なのか素人目にはまったくわからない些細な点でも、お客様の元へ届く前に見つけ出します。この目視の工程の後に、金属探知機に2回通して、針など危険物がついていないかを確認することで、ようやく"商品"となって、工場を出ることができるのです。

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---金属探知機に1枚1枚通していきます。針が残るということはほとんどありませんが、万が一に備えた確認作業です。

「『不良品はある』という疑いの目でチェックしてるんです。こういう仕様だったら、こういう不良の可能性がありうるという予想は経験の積み重ねですね」。きびきびと話す清水さんは、さながら敏腕検査官という印象。子育てで休みをはさみつつ、ずっとこの納品前検査の部署で働いていて、現在は部署の責任者。実は清水さんのお母さんも同じ部署で働いているそう。「最初は母が先輩だったんですけど、いまでは立場が逆転して。母娘って難しいですよね。仕事でギクシャクすると、野菜が届かなくなったりして(苦笑)」

清水さんの仕事は、商品の不良を見つけ担当者に指摘すること。褒める仕事ではないので、気持ちの面でつらさがあります。納期が迫っているときに不良品が出ると、指摘するプレッシャーは倍増します。「自分の失敗ではないけど、自分では縫って直せない。直すには縫い場の手助けが必要なんです」。きっと清水さんの厳しい指摘はより良い商品のためだと、現場はわかってくれている。そんなエピソードかもしれません。

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---不良品明細のタグがつけられたブラウスは、縫製担当者の元へと戻されます。


清水さんが仕事でうれしかったこと。それはaoのファクトリーイベントでお客様が買ってくださった商品を直接手渡せたこと。いつもは商品を工場で最後に見届ける、納品前検査担当らしい感慨です。

 

「aoの仕事をしているおかげで、(ファクトリーイベントでは)販売員をやったり、ピザ職人になったり。これまで製造に関わる仕事しかしてこなかったけど、地元の糸魚川にいながらいろんな仕事を体験できた。子供にも仕事を自慢できるんですよ」と清水さん。

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---清水さんの仕事道具。指示書と糸切りバサミ、ガムテープ、不良箇所を示す丸シールに不良品明細タグ。


糸魚川は日本の小さな海辺の町。よく似た風景のよく似た町は日本中探せばあるかもしれませんが、aoの工場があることで、その地にずっと暮らす女性たちの小さな憧れーーいろんな仕事をしてみたい、都会の女性と同じ服に触れてみたいーーが、少し叶えられているのかもしれません。そして、そんな思いを持った彼女たちが裁断し縫った"手作りの洋服"が、全国のお客様の元へと届けられているのです。

連載は今回で終わりですが、みなさまがaoの洋服を手に取ってくださったとき、糸魚川に暮らし働く彼女たちの思いも一緒に届きますように。


【personal data】

一緒に暮らす人:夫、娘、息子、犬

出身地:糸魚川市青海地区

趣味:映画のDVD鑑賞

得意料理:お味噌汁。季節の野菜やメギス(魚)のすり身などを入れたもの。

一押しのaoアイテム:ガーゼシャツ。空気を含んで風通しがよく、着心地がよい。

【今日のお弁当】

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地元で穫れる旬の野菜にこだわったお弁当。炒め物に使ったキクラゲは糸魚川産のもの。ミョウガの甘酢漬けも自家製。


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取材・文:村岡利恵(HÜTTE muumuu)
『フィガロヴォヤージュ』『Hanako』などの編集に携わる。2017年の初夏から長野県大町市の高瀬渓谷の別荘地で「HÜTTE muumuu」という朝食限定のカフェと編集&デザイン業を営む。www.huttemuumuu.info


*こちらの連載をまとめたリーフレットの配布を春頃に予定しております。お楽しみに!

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