1枚のブラウスができるまで - information | ナチュラル服・肌触りの良い大人のガーゼ服はao daikanyama | アオ代官山
ナチュラル服・肌触りの良い大人のガーゼ服は ao daikanyama | アオ代官山
split
information | ナチュラル服・肌触りの良い大人のガーゼ服は ao daikanyama | アオ代官山

インフォメーション

「1枚のブラウスができるまで」第4回

aoの服は新潟県糸魚川市の縫製工場で1枚1枚作られています。
歩いて海まで行けるその工場では、1枚のブラウスができるまでの工程に何人もの技術者が携わっています。
繊細にミシンを扱う手と、家族のために毎日の食事を作る手と。
海辺の町で働き暮らす彼女たち(時に彼たち)が、プレミアムラインbisシリーズ「タックバルーンスリーブプルオーバー」を作り上げていくストーリーをお伝えしていきます。

one_blouse_blog.jpg

第4回
前工程
加藤奈津紀さん・30代

20170929ob-4.jpg

 

裁断されたパーツを縫い合わせて、服に仕立てる。シンプルな洋服の場合はそうなりますが、タックバルーンスリーブプルオーバーは、全体にピンタックや袖口にピコカットといった繊細なデザインが施されています。各パーツにある細かな部分や、その後の縫製より先だって行っておくべきことをするのが、今回の<前工程>になります。

20170929ob-6.jpg

---これがピンタック。布地をつまんでヒダを作ります。タックバルーンスリーブプルオーバーのタックは1mmと細い。

20170929ob-7.jpg

---袖口のピコカット。4本の針で布に穴を開けてかがりつつ、ハシゴのように縫われたものがピコ刺繍。それを切ったものがピコカット。


特殊ミシンでディテールを縫う。

加藤奈津紀さんは第1回の湯尾さんと同じ少ロット班に属しています。通常の縫製に使う各々のミシンがありますが、少ロット班の周りには一見わからないのですが、特殊な作業を行うミシンが置かれています。ピンタックミシン、ギャザーミシン、ピコカットミシン、裏振り2本針......。

これらの多くは前工程で活躍するのですが、中でもSINGERのピコカットミシンは、日本に縫製工場あれど現役で使っているところはそう多くないという珍しいもの。この工場では昭和50年代に中古で購入しましたが、見るからにそれ以前の年季物。こういったミシンは現存するパーツも少なく、メンテナンスも困難。このミシンの調整ができるのは、縫製工場の社長ただひとりなのです。

20170929ob-2.jpg

---ピコカットミシンの調整をする縫製工場社長。ミシンも彼の前ではお利口さんに。

20170929ob-1.jpg

---ピコ刺繍と同時に生地をカットするハサミパーツ。オリジナルはもうないので、別のミシンのパーツを代用。S字に金具を曲げてSINGERのミシンに合うようにDIY。これも社長だからできること。

創業50周年を迎えた母体の縫製工場が、婦人向けの凝ったブラウスを手がけてきた技術力やノウハウの蓄積が、いまのaoの洋服づくりにもしっかり活かされているのです。


時間を大事にする、「いっこく」さんの仕事。

「社長が踏むと、ミシンもお利口さんなんですよ(笑)。社長には『おまんはいっこく(糸魚川の方言で、あなたはせっかち)だ』と言われちゃいます」と加藤さん。専門学校を出て美容師になったものの、転職してこの業界に入ったと言います。

4歳と6歳の男の子のお母さんでもある加藤さんは、現在は時短勤務中。「いっこく」なのも、それが理由(本人のキャラもありますが)。自分の時間が限られている分、ほかのひとも同じように自分の時間を大事にしてもらいたい。だから、次の工程のひとが作業しやすいように、ほつれがないか確認をし、作業しやすいように向きを揃えて渡します。

「表地を上に置くのがいい?裏がいい?」。そんな些細なことひとつでも、次の作業がしやすくムダな時間がかからないようにひとこと声をかける。いっこくなのは自分のためだけではなかったのです。


厳しいのに笑いが絶えない、少ロット班。

実は加藤さん、自身が別の班の班長だったこともありました。でもなかなか同僚にお願いするのが苦手で言い出せず、ひとりで黙々と直しをしたり、そんな状況に焦ってしまったり。

でもいまは湯尾さんの班が楽しいと言います。「それ、縫い代太いよね」「まだそれ縫ってるの?」。端から見ると、ちょっときつめな言葉を笑いながらかけ合っています。シャイな湯尾さんはぶっきらぼうに言ったりもしますが、指摘は的確。でも加藤さんは「湯尾さんはある意味天才だから(笑)。ほめてくれるとやっぱりうれしい」

くるくると現場を見回す、気配りの「いっこく」さん。帰宅時間を気にしながらも、今日もミシンを踏んでいます。

20170929ob-5.jpg

---朝来たら、キン肉マンのおもちゃが置かれていたという加藤さんのミシン。向かいの同僚・土沢さんのいたずらです。


【personal data】 

一緒に暮らす人:夫、子供(4歳と6歳)、義父母
出身地:糸魚川市南押上地区
趣味:今年はカブトムシの幼虫飼育。韓流ドラマ鑑賞。
特技:空手(初段)
得意料理:鶏の唐揚げ
一押しのaoアイテム:おくるみストール。専務からの出産祝いでもらった。授乳にも便利で、いまはストールとして使っている。

【今日のお弁当】

20170929ob-3.jpg

 

オムライス弁当。うずらの卵のベーコン巻きは子どもの好物。晩ごはんの残り物を入れたり、量が少ないときは市販のスープをプラス。お弁当箱は妖怪ウォッチ。


---

取材・文:村岡利恵(HÜTTE muumuu)
『フィガロヴォヤージュ』『Hanako』などの編集に携わる。2017年の初夏から長野県大町市の高瀬渓谷の別荘地で「HÜTTE muumuu」という朝食限定のカフェと編集&デザイン業を営む予定。www.huttemuumuu.info


次回更新は10月27日(金)を予定しております。

▼これまでの記事はこちらからご覧ください。
第3回
第2回
第1回

「1枚のブラウスができるまで」第3回

aoの服は新潟県糸魚川市の縫製工場で1枚1枚作られています。 

歩いて海まで行けるその工場では、1枚のブラウスができるまでの工程に何人もの技術者が携わっています。

繊細にミシンを扱う手と、家族のために毎日の食事を作る手と。
海辺の町で働き暮らす彼女たち(時に彼たち)が、プレミアムラインbisシリーズ「タックバルーンスリーブプルオーバー」を作り上げていくストーリーをお伝えしていきます。

one_blouse_blog.jpg

第3回
裁断
縄井明美さん・50代

20170831-1.jpg

 

第3回ではいよいよ実際の製品づくりに入ります。<裁断>という、布を裁つ作業です。

裁縫をされるかたなら、1着ずつ型紙を当て、チャコペンシルで下書きをし、ハサミで切るという作業を想像されるかもしれませんが、aoの工場ではそれを30~1000着単位で行います。となると、手作業では追いつかないのでC A M (computer aided manufacturingの略)という機械の出番。これは第2回の川原さんのCADから送られるパターンデータと対になって作動する、コンピューター制御の裁断機。それをオペレーションするのが、今回の縄井明美さんです。

20170831-4.jpg

---これがCAM。パソコン上のパターンと同じように、右の裁断機が高速で裁断していきます。


CAMの登場で様々な生地の裁断が可能に。

「パソコンなんてかまったことないし(触ったことがない、の方言)、マウスの使い方もわからなかったんです」。1番下のお子さんが小学1年生のときに縫製工場に入りました。当時はまだCADとCAMの導入期前で、パターンづくりも手作業で行うこともあったそう。

CAMの機械は、まず50枚程度重ねた生地とパターンの上に透明のビニールシートを掛け、下からバキュームで吸引して固定します。そして機械にパターンをスキャニングさせて、メス(ハサミ)によって裁断をします。このことでさまざまな生地を扱えるようになり、今では全国の生地産地の特色を生かしたaoオリジナルガーゼは20種類以上となっています。aoのガーゼのようにふんわりした素材も圧縮固定することで、安定して裁断ができるようになったのです。

20170831-3.jpg

---CAMオペレーターはまず生地の大きさを機械に読み取らせます。赤いポインターが四隅のひとつを認識しているところ。

20170831-2.jpg

---生地にメスが入ったところ。「メスは何メートルごとに1回刃を研ぐ」などの動作指示もコンピューターで行う。

20170831-9.jpg

20170831-6.jpg

---上は裁断されブラウスのパーツになる生地。下はパーツが抜かれた後の生地。


切ったらおしまい。確認確認の裁断作業。

裁断の前工程には、何メートルもの原反(生地メーカーから納入された状態の巻物状の生地)を運んで、引っ張られていた生地を緩める放反作業があるなど「男性の仕事のイメージ」を持っていたという縄井さん。

でもCADとCAMの導入で多くの枚数を一度にできるようになった分、力仕事ではないものの、ひとつでもミスがあると、すべての生地が無駄になるという怖さが生まれました。「簡単にメスは入れられないんです。切った
らおしまいです」。普段穏やかな縄井さんが強く言ったひとことです。

絶対に自分ひとりでは判断しない、第三者にチェックしてもらう。不安に感じていることほど現実になってしまうから、一呼吸おいて再確認してから作業する。それだけ細やかに作業しても、家に帰っても間違っていなかったかが気になってしまい、土日でもつい工場に出てしまう。そんな縄井さんの姿をaoの社長も時折見かけていたそう。


ハンガーに吊られたときの美しさにほっとひと息。

男性の仕事だと思われていた裁断の担当に縄井さんが入ったことは、こういう慎重さが必要だったからかもしれません。仕事を始めて18年経ったいまでも変わらない、慣れきってしまわない気持ちがあるのです。

20170831-7.jpg

---CAMで自動化されたとはいえ、まだまだひとの手で裁断をしないといけない細かなパーツもあります。


仕事で達成感があるのは、柄合わせが難しかった生地が、縫製を経てハンガーに下がっていたときにピシッと美しく揃っていたとき。でも「うれしい」よりも「ほっとする」という言葉がつい出てしまうのが、縄井さんの人柄。

「確認確認」ーーそう言いながら、それでも毎日何百着もの生地を裁断していく職人なのです。

20170831-5.jpg

---下は縄井さんのハサミ。目印に各自布を巻いています。手で裁断するときにはマイハサミを使用。切れ味が損なわれないよう、定期的に職人に研いでもらいます。


【personal data】

一緒に暮らす人:夫、子供(4人兄妹で3人はすでに独立)
出身地:糸魚川市能生地区
趣味:ガーデニング。やさしい感じの小さな花が好み。
特技:バトミントン。若い頃は県大会にも出場。
得意料理:ロールキャベツなど季節の野菜を使った料理。
一押しのaoアイテム:アオTシャツ。軽くて肩がこらない。

【今日のお弁当】

20170831-8.jpg

第1回登場の湯尾さんにもらった手作りコンニャクの煮物。裏山で採れたきゃらぶき。焼き鳥は冷凍食品。玉子焼きは出汁と砂糖の甘い派。

---

取材・文:村岡利恵(HÜTTE muumuu)
『フィガロヴォヤージュ』『Hanako』などの編集に携わる。2017年の初夏から長野県大町市の高瀬渓谷の別荘地で「HÜTTE muumuu」という朝食限定のカフェと編集&デザイン業を営む予定。www.huttemuumuu.info


次回更新は9月29日(金)を予定しております。

▼これまでの記事はこちらからご覧ください。
第2回
第1回

「1枚のブラウスができるまで」第2回

aoの服は新潟県糸魚川市の縫製工場で1枚1枚作られています。 

歩いて海まで行けるその工場では、1枚のブラウスができるまでの工程に何人もの技術者が携わっています。

繊細にミシンを扱う手と、家族のために毎日の食事を作る手と。
海辺の町で働き暮らす彼女たち(時に彼たち)が、プレミアムラインbisシリーズ「タックバルーンスリーブプルオーバー」を作り上げていくストーリーをお伝えしていきます。

one_blouse_blog.jpg

第2回
パターンアレンジ
川原絵里さん・30代

20170727-1.jpg

 

第1回でご紹介した<仕様検討/先行チェック>という工程と同じタイミングで行われるのが、今回の<パターンアレンジ>。

CADというソフトを使ってパソコン上で行われるパターンアレンジですが、縫い代を数ミリ増減する、ノッチ(※1)の位置を決める、歩留まり(ぶどまり、※2)を最小限に抑える...といった、その後の裁断&縫製作業をしやすく工夫をこらす、言わば洋服作りの要となる作業なのです。

※1 ノッチ:パターンに切込みを入れること。合印。2枚の生地のノッチを合わせながら縫うことでズレをなくすことができる。

※2 歩留まり:生地効率。決められた生地内に各パーツを効率よく収めることで、廃棄する部分を少なくする。

20170727-2.jpg

---1枚の生地にうまくパーツを収めて歩留まりの少ないパターンを作ります。


aoの風合いはパターン調整の賜物。

パターンアレンジは作業の工程を円滑にするだけではなく、ao特有の"風合い"にも大きく関わってきます。

一般的に洋服に使う生地は縮みや光による変色を防ぐため、精錬や漂白など化学的な加工が施されます。一方、aoで使う生地はそういった加工をせず、素材本来が持つ自然な風合いをそのまま活かしています。すなわち洗ってしまうと縮んでしまったりする不安定さが残る生地。代表的な「なめらか天竺」では、洗いをかけると縦横で約35%近くも縮んでしまうのです。

そのままお客様の手元に届くと大変。だから生地の段階でどれくらい縮むのか、洗いをかけて収縮率を計算したうえで、パターンの調整を行うことで、デザイナーが求めるシルエットを導き出します。これもパターンアレンジの大事な仕事なのです。

20170727-4.jpg

---洗いをかけた生地の収縮率も計算。仕上がり後の縮みも予測してパターンを調整します。


未経験だったから、現場が教室。

「実家はクリーニング店で、母の作った洋服を兄妹みんな着ていました。いつも洋服に囲まれて育っていて、いま思えば、それが洋服作りをするきっかけだったのかな」

川原さんは高校卒業後に入社。CADオペレーター募集でしたが未経験。それでも採用され、いろんな工程をまわりパターンのいろはを学びました。だから「他社や一般的なやり方はわからないけど、この工場だったらこうやる」という、現場感覚を大切にするオペレーターなのです。


気軽な会話から、バランス感覚を磨く。

そんな川原さんのCAD技術の見せどころ。それはバランス感覚。生地のムダをなくすために歩留まり重視になると、裁断が複雑になり時間がかかる。ある班の要望の縫い代だけを採用すると、他の班では縫いづらくなる。現場からノッチ指示が入ってなくても、必要だと思ったら入れる。

工程に携わるすべての人たちに「よかったよ、やりやすかったよ」と言ってもらうために、全体バランスを考えてパターンを調整するのです。必要なのは、現場とのコミュニケーション力。「真剣に議論しがちな仕事のことを、あえて軽く話すことで言いやすい空気を作るようにしています」と秘訣を話す川原さん。aoの母体である縫製工場の社長にもそのフランクさが受け入れられ、すっかり一目置かれる存在に。

20170727-3.jpg

---パソコン横には「ママガンバッテ」とのメモ。小学生の男の子のお母さんでもあります。


家庭に入ることに憧れ、子育てを機に職場を一旦離れましたが、またaoに戻ってきた川原さん。「仕事をしてると生活にハリが出てきます。違う仕事もしてみたかったけど、やっぱり自分の知識が活かせるし、何より作ることが好きだった」。子どもの頃からいつも洋服に囲まれて暮らしていた、彼女らしい選択です。


【personal data】

一緒に暮らす人:夫、子供、義父母
出身地:糸魚川市早川地区
趣味:キャンプなどアウトドア活動
特技:料理を食べること、作ること
得意料理:煮玉子。地域のお祭りの振る舞いで好評。
一押しのaoアイテム:デニムノーカラーコート。デニムよりも柔らかく、さっと羽織れる。

【今日のお弁当】

20170727-5.jpg


ベーグルサンド。具材は子供が好きなカボチャサラダ、豆、クリームチーズ、チキン、トマト。パンが好きで、こっそり会社の冷凍庫にパンを保存している。

---

取材・文:村岡利恵(HÜTTE muumuu)
『フィガロヴォヤージュ』『Hanako』などの編集に携わる。2017年の初夏から長野県大町市の高瀬渓谷の別荘地で「HÜTTE muumuu」という朝食限定のカフェと編集&デザイン業を営む予定。www.huttemuumuu.info


次回更新は8月31日(木)を予定しております。

第1回の記事はこちら

「1枚のブラウスができるまで」第1回

aoの服は新潟県糸魚川市の縫製工場で1枚1枚作られています。 

歩いて海まで行けるその工場では、1枚のブラウスができるまでの工程に何人もの技術者が携わっています。

繊細にミシンを扱う手と、家族のために毎日の食事を作る手と。
海辺の町で働き暮らす彼女たち(時に彼たち)が、プレミアムラインbisシリーズ「タックバルーンスリーブプルオーバー」を作り上げていくストーリーをお伝えしていきます。

one_blouse_blog.jpg

第1回
仕様検討 /先行チェック
湯尾彩子さん・30代

20170630-1.jpg



繊細な服作りを導く、先行チェックという仕事。

aoのブラウスができるまでには様々な工程がありますが、デザインからパターンを起こし、それを実際に1枚作ってみることで、量産への課題と改善点を現場の技術者の目線でチェックする作業があります。これが今回ご紹介する〈仕様検討〉と〈先行チェック〉です。

「縫うと言っても色々な方法があるのですが、デザイナーやパタンナーの意向を汲みつつ、いちばんきれいに、いちばん早く効率よく仕上げる方法を考えるのが仕様検討の仕事です」と湯尾さん。先行チェックとは、仕様を検討した上で、量産化に入る前にすべての工程をひとりの技術者が縫い上げ、デザイナーたちとともに〈先上げ〉と呼ばれる完成品の最終チェックを行うことです。

湯尾さんはaoの生産ラインでも、特に繊細で少ロットの服を担当する班の班長であり、仕様検討と先行チェックを任される数少ない技術者のひとり。

20170630-3.jpg
---量産しやすいようなポイントを指示入れするのも先行チェックの仕事のひとつ。
これを共有して、完成品へと導きます。


何千型も縫うことで得たもの。

高校卒業後に入社。接客などではなく黙々と仕事をしたかったという彼女は、先輩技術者たちの働くラインを「それこそ隅から隅までまわった。何十型、何千型という縫製をやってきました」と言います。

ある日、まだ入社3年目の新人だった湯尾さんに先輩技術者が「おまん、縫いない(あなた、縫ってみなさい)」と、突然先上げをやるように言いました。結果はやり直し指示が入ってしまいました。湯尾さんにとってはほろ苦い先上げデビュー。

でもそこから何十型、何千型を縫ってきたいま、その期待に応えられる技術者となって、現場を支えています。特にaoはスタートアップから携わっているブランド。自分が担当した型は手の感覚で縫い方を覚えているそう。

そんな湯尾さんがつらいと感じることは「求められる仕様のクオリティと納期がかみ合わないとき。無理に急ぐと品質にも影響が出かねない。そういう時はパンツならパンツが得意な人など、社内でその商品が得意な人にアドバイスをもらいながら乗り越えます」

少ロット班はどんな縫製もできるオールマイティな技術者揃いですが、得意分野をもつ他ラインの技術者と常日頃からやりとりをすることで切磋琢磨し、いざというときには協力し合います。いろんなラインを隅々までまわって築いた社内のネットワークも彼女の強み。

20170630-2.jpg
---湯尾さんのミシンにはかわいいマグネットが。ハリネズミが好きだそう。



難しい仕事も、以心伝心のチームワークで。

そして湯尾さんがうれしいなと思うのは「凝ったデザインでも検品後の直しがゼロだったとき。自分が指示を出さなくても、班のみんながスムーズに分担をして縫い上げてくれるとき。言わなくても伝わってるんだなって思う」

根っからの職人気質の彼女が顔をほころばせたのは、ひとに何かを作ってあげるのが好きだという話のとき。同じ班の技術者も「湯尾さん、シフォンケーキ上手なんよ〜」と横から冷やかし。接客が苦手で縫製の職を選んだという女の子は、好きなもの作りを通して、すっかりひとの輪にも溶け込んでいたのです。


【personal data】
一緒に暮らす人:母、祖父
出身地:糸魚川市駅前地区
趣味:海外ドラマのDVD鑑賞
特技:お菓子作り
得意料理:シフォンケーキ。会社に持ってきておすそ分けしている。
一押しのaoアイテム:ケープスリーブドレス。着やすいけどシンプル過ぎずおしゃれ。落ち着いた色展開も好き。

【今日のお弁当】

20170630-4.jpg


生春巻き。毎朝15分程度でお弁当を仕上げます。具材はサーモン、海老、鶏肉のササミなど魚肉類とモヤシやキュウリなど野菜たっぷり。オーロラソースとスイートチリソースで。

---

取材・文:村岡利恵(HÜTTE muumuu)
『フィガロヴォヤージュ』『Hanako』などの編集に携わる。2017年の初夏から長野県大町市の高瀬渓谷の別荘地で「HÜTTE muumuu」という朝食限定のカフェと編集&デザイン業を営む予定。www.huttemuumuu.info


次回更新は7月28日(金)を予定しております。

ao daikanyama 公式Facebookページ