ナチュラル服・肌触りの良い大人のガーゼ服は ao daikanyama | アオ代官山
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「1枚のブラウスができるまで」第4回

aoの服は新潟県糸魚川市の縫製工場で1枚1枚作られています。
歩いて海まで行けるその工場では、1枚のブラウスができるまでの工程に何人もの技術者が携わっています。
繊細にミシンを扱う手と、家族のために毎日の食事を作る手と。
海辺の町で働き暮らす彼女たち(時に彼たち)が、プレミアムラインbisシリーズ「タックバルーンスリーブプルオーバー」を作り上げていくストーリーをお伝えしていきます。

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第4回
前工程
加藤奈津紀さん・30代

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裁断されたパーツを縫い合わせて、服に仕立てる。シンプルな洋服の場合はそうなりますが、タックバルーンスリーブプルオーバーは、全体にピンタックや袖口にピコカットといった繊細なデザインが施されています。各パーツにある細かな部分や、その後の縫製より先だって行っておくべきことをするのが、今回の<前工程>になります。

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---これがピンタック。布地をつまんでヒダを作ります。タックバルーンスリーブプルオーバーのタックは1mmと細い。

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---袖口のピコカット。4本の針で布に穴を開けてかがりつつ、ハシゴのように縫われたものがピコ刺繍。それを切ったものがピコカット。


特殊ミシンでディテールを縫う。

加藤奈津紀さんは第1回の湯尾さんと同じ少ロット班に属しています。通常の縫製に使う各々のミシンがありますが、少ロット班の周りには一見わからないのですが、特殊な作業を行うミシンが置かれています。ピンタックミシン、ギャザーミシン、ピコカットミシン、裏振り2本針......。

これらの多くは前工程で活躍するのですが、中でもSINGERのピコカットミシンは、日本に縫製工場あれど現役で使っているところはそう多くないという珍しいもの。この工場では昭和50年代に中古で購入しましたが、見るからにそれ以前の年季物。こういったミシンは現存するパーツも少なく、メンテナンスも困難。このミシンの調整ができるのは、縫製工場の社長ただひとりなのです。

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---ピコカットミシンの調整をする縫製工場社長。ミシンも彼の前ではお利口さんに。

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---ピコ刺繍と同時に生地をカットするハサミパーツ。オリジナルはもうないので、別のミシンのパーツを代用。S字に金具を曲げてSINGERのミシンに合うようにDIY。これも社長だからできること。

創業50周年を迎えた母体の縫製工場が、婦人向けの凝ったブラウスを手がけてきた技術力やノウハウの蓄積が、いまのaoの洋服づくりにもしっかり活かされているのです。


時間を大事にする、「いっこく」さんの仕事。

「社長が踏むと、ミシンもお利口さんなんですよ(笑)。社長には『おまんはいっこく(糸魚川の方言で、あなたはせっかち)だ』と言われちゃいます」と加藤さん。専門学校を出て美容師になったものの、転職してこの業界に入ったと言います。

4歳と6歳の男の子のお母さんでもある加藤さんは、現在は時短勤務中。「いっこく」なのも、それが理由(本人のキャラもありますが)。自分の時間が限られている分、ほかのひとも同じように自分の時間を大事にしてもらいたい。だから、次の工程のひとが作業しやすいように、ほつれがないか確認をし、作業しやすいように向きを揃えて渡します。

「表地を上に置くのがいい?裏がいい?」。そんな些細なことひとつでも、次の作業がしやすくムダな時間がかからないようにひとこと声をかける。いっこくなのは自分のためだけではなかったのです。


厳しいのに笑いが絶えない、少ロット班。

実は加藤さん、自身が別の班の班長だったこともありました。でもなかなか同僚にお願いするのが苦手で言い出せず、ひとりで黙々と直しをしたり、そんな状況に焦ってしまったり。

でもいまは湯尾さんの班が楽しいと言います。「それ、縫い代太いよね」「まだそれ縫ってるの?」。端から見ると、ちょっときつめな言葉を笑いながらかけ合っています。シャイな湯尾さんはぶっきらぼうに言ったりもしますが、指摘は的確。でも加藤さんは「湯尾さんはある意味天才だから(笑)。ほめてくれるとやっぱりうれしい」

くるくると現場を見回す、気配りの「いっこく」さん。帰宅時間を気にしながらも、今日もミシンを踏んでいます。

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---朝来たら、キン肉マンのおもちゃが置かれていたという加藤さんのミシン。向かいの同僚・土沢さんのいたずらです。


【personal data】 

一緒に暮らす人:夫、子供(4歳と6歳)、義父母
出身地:糸魚川市南押上地区
趣味:今年はカブトムシの幼虫飼育。韓流ドラマ鑑賞。
特技:空手(初段)
得意料理:鶏の唐揚げ
一押しのaoアイテム:おくるみストール。専務からの出産祝いでもらった。授乳にも便利で、いまはストールとして使っている。

【今日のお弁当】

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オムライス弁当。うずらの卵のベーコン巻きは子どもの好物。晩ごはんの残り物を入れたり、量が少ないときは市販のスープをプラス。お弁当箱は妖怪ウォッチ。


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取材・文:村岡利恵(HÜTTE muumuu)
『フィガロヴォヤージュ』『Hanako』などの編集に携わる。2017年の初夏から長野県大町市の高瀬渓谷の別荘地で「HÜTTE muumuu」という朝食限定のカフェと編集&デザイン業を営む。www.huttemuumuu.info


次回更新は10月27日(金)を予定しております。

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